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北川フラム総合ディレクター アーティストWEBインタビュー vol.5「時差12時間」
北川フラム総合ディレクターによるWEBインタビュー、今回は日本から見ると地球の裏側、リオデジャネイロ(ブラジル)から、マリア・ネポムセノさんがインタビューに答えてくださいました。
新型コロナウイルス感染者数は100万人を超え、一日あたり数万人規模で感染者が増え続けるなど今もなお深刻な状況のブラジルで、アーティストはどのように過ごし何を考えているのか。12時間の時差を超えて聞きました。
参加者(順不同、敬称略)
マリア・ネポムセノ、北川フラム総合ディレクター
北川総合ディレクター(以下、北川D):
今日は大変な中ありがとうございます。状況はいかがですか?
マリア・ネポムセノさん(以下、マリア)
私と家族は皆元気に過ごしています。夫が医者なので検査も受けることができて安心しています。
ご存じのとおりブラジル全体でパンデミックが起こっていて、リオデジャネイロは特に感染率が高く国民は皆心配していますが、政府や大統領は「ロックダウンする必要がない」と言っています。専門家は10月にピークが来ると言っており、この状況がずっと続くのか心配です。
郊外にも家を持っているので避難することもできますが、ネット環境が悪く仕事やオンラインで授業を受けるのに支障が出るので、ずっと滞在することができません。
北川D:
マリアさんはどんな生活を送っていますか?
マリア:
スタジオが家の中にあるので、仕事は通常どおりできています。普段来てくれているアシスタントはいませんが。子どももずっと家にいるので、子どもの世話と制作の両立が大変です。
仕事としては、Art Baselが開催するオンライン版のアートフェアに出品する新しい作品を何点か準備しています。オンラインでセールスをするための企画も組織側が準備してくれました。
いちはらアート×ミックスに出品する作品も準備できています。作品の一部にリオの貧しい地域に住む子どもたちが描いた絵を組み合わせる部分があるのですが、それはこの状況のためまだ準備ができていません。
北川D:
集めた子どもたちの絵をいちはらアート×ミックス会期前にオンラインで流しても良いかもしれませんね。
マリア:
素晴らしいアイディアですね。この状況になる前に一部は集めているので、可能だと思います。
北川D:
いちはらアート×ミックスは1年後に開催する予定ですが、ブラジルの状況によってマリアさんが来日できなかったとしても何かできることを考えたいと思っています。
マリア:
日本にはぜひ行きたいと思っています。もし行くことができなくても作品はほぼ完成していて、日本に送る用意もできているので展示は可能だと思います。
北川D:
先ほどオンラインで授業を受けるとおっしゃっていましたが、子どものオンライン授業ですか?
マリア:
はい、子どもの学校のオンライン授業です。たくさんの宿題が出されています。
マリア:
日本はどんな状況ですか?皆さんもうマスクをせずに歩いていますか?(リオデジャネイロでは外出時のマスク着用が義務付けられている)
北川D:
感染者数は以前と比べて落ち着いてきていますが、今後どうなるかはまだわかりません。少しずつ外出していますが、自宅で仕事をしている人もいます。とにかくまだわからない、といった状況でしょうか。
マリア:
日本では、政府がステイホームを命じているんですか?それとも人々は自発的にリモートワークなどを続けているんでしょうか?
北川D:
政府はステイホームを推奨してはいますが、各自の行動に任せているところが大きいです。外出に対する法的な罰則はありません。
マリア:
そうなんですね。ブラジルもそうであったらいいのにと思います。
北川D:
他になにか今後の計画はありますか?
マリア:
アーティストが制作したジュエリーを専門に扱っているギャラリーとのプロジェクトに3月から取り組んでいます。(www.elisabettacipriani.com)
Baselのオンラインアートフェアのために、4つの作品も完成させたばかりです。今後はA Gentil Carioca galleryのオンライン展示、そしてマイアミで開催されるArt Basel Miami Beachに向け、制作を開始します。
北川D:
今日はどうもありがとうございました。
北川フラム総合ディレクター アーティストWEBインタビューシリーズ
vol.1「コロナの状況下においてアーティストが持つ希望」
vol.2「離れた場所でのコミュニケーション」
vol.3「国境を越えて」
vol.4「作家の小さな日常の変化」