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2021.12.23
コラム
見どころ紹介!北川フラム連載 しっかり毎日とはいかないけれど「ディレクターズ カット」第5号
冬至を経てクリスマス・イブ。いちはらアート×ミックス2020+は12月26日までのあと4日。冬に行われる珍しい芸術祭です。奥能登国際芸術祭、北アルプス国際芸術祭から引き継がれてきた感染者数0のコロナ禍での地域の特徴を活かした作品の面白さに、多くの人たちが口コミでやって来られています。二度と見られない作品も多く、ぜひいらして下さい。
10月末に実施が決まって以来、瀬戸内、越後妻有からの応援者あり、市役所職員、地元各地区の熱心な応接はありがたいことでした。私も毎週のツアーガイドを含めて、週の半分は市原に通っています。里山カレー、月出のコーヒー、喜動房の弁当を堪能しましたし、いちご大福、いちじく饅頭などのお菓子は毎日。季節の自然薯と里芋は家いっぱい、晩秋の房総の里山を楽しんでいます。
師走の東京と房総の往還は東関道、アクアラインどちらを選ぶか、日によって朝夕の混み方がまったく違う。困ってしまいますが、富士を拝んだあと、左手に君津・市原の工業地帯の煙を見て、右手に三浦半島のうっすらとした山容を目に入れれば、房総・三浦は指呼の間、更級日記や源頼朝の挙兵の経緯がわかると言うものですし、漱石の房総の旅のよさも理解できます。まさにこの地は一衣帯水です。「晴れたら市原に行こう!」とはよく言ったものです。
この間、内田未来楽校や白鳥の作品も楽しみましたが、申し訳ないことに、二度原稿を紛失しました。遅ればせながら、旧白鳥保育所の作品について報告します。
撮影:中村脩
事務室は高田安規子・政子姉妹。備品・玩具ひとつひとつに細工がしてあって実に楽しい。例えば黒板カレンダーには月齢の丁寧なドローイングがあり、感銘を受けました。
幼稚園の先生と看護婦さん(医療従事者というべきか)は、私の敬愛する職種ですが、その先生の和室の休憩室(どこにもありますね)、大杉祥子の百を超える紙人形が《白鳥の湖》のさまざまな場面ごとに吊られていて楽しい。音楽が聞こえてくるようです。
次の部屋が調理室。大釜、オーブン、包丁、鍋、皿などがそれぞれの場面の物語をもって設置されています。緊迫感がある暗い空間は食の持っている様々な様相を表していて凄い。五所純子の作品です。
篠崎恵美は生花を扱う作家で、会期の順延や中止は大変だったと思いますが、12月に入ってからの展示では、生の草と紙の花の組み合わせで不思議で爽やかな空間をつくってくれました。
撮影:中村脩
隣にある高山夏希はこれに対して、木々が枯れた状態に持ち込まれていますが、外景が取り込まれているせいで迫力がありながら清楚な教室になっていて好感がもてました。
先日の土曜日には前田エマの連続《エマらじお in いちはら》があって、(株)スマイルズの遠山正道が出演とのことで、遠山さんはご自身でツアーを仕立てて来て下さっていました。今回イベントとして企画していた、遠山さんの市原湖畔美術館でのピクニックができなくて残念です。この部屋には保育所に残された絵本や玩具に作家の注釈がついた展示になっていて楽しいものとなりました。
石田真澄は市原歩きでの写真です。私は写真のよしあしがよく分からないので、報告だけ。
保育所の外にはキューバのカルロス・ガライコアの都市的な面白い遊具もあり、日曜には小学校で太鼓が演奏され市場もありました。パンと蜂蜜は格別のうまさでした。校内には市内の倶楽部や子ども達の展示ワークショップもあって元気です。
内田未来楽校は相変わらず報徳会の皆さんが元気で、展示とワークショップでもやっていました。屋外にあった武内カズノリ氏の顔像は面白かった。
さて今日は十日町市長、26日は香川県知事の見学です。25日の午後には伊藤キムの踊りと対談があります。皆さんぜひいらして下さい。作品と里山のよさを味わって下さい。